新型コロナ感染症が出現してから1年以上経過しましたが、いまだに終息の目途は立たず、2月末時点で1憶人を超える感染者と240万人余の犠牲者が出ています。こんな中、今まで防戦一方だった新型コロナとの闘いに、感染症を抑え込むのに有効な「ワクチン」という武器が加わりました。4月中旬からは65歳以上の高齢者を対象にワクチン接種が始まりますが、「本当に効果はあるの?」「副反応が心配だ」などの声も耳にします。受けるかどうかを決めかねている方もいるかと思います。
実は今回のワクチンは今まで人類が使用したことがない全く新しい種類のワクチンで、ファイザー社とモデルナ社はRNAワクチン、アストラゼネカ社はDNAワクチンに分類されており、われわれ医療従事者にも馴染みのないワクチンなのです。RNA、DNAという遺伝子が関係しているため、体に有害ではと心配される向きもありますが、いずれも体の中ですぐに分解してしまうため無害とされています。有効性は95%と報告されていますが、毎年私たちが接種しているインフルエンザワクチンの有効性が30~50%なので、かなり効果が期待されます。さらに、重症化を抑えたという報告もあり、高齢者には朗報です。
懸念される副反応ですが、海外からの報告では接種部の腫れや頭痛、発熱などが比較的高い割合で起こりますが、2~3日で軽快します。強いアレルギー反応であるアナフィラキシーが10万人にひとり起こると報告されており、これは100万人にひとりのインフルエンザワクチンよりは高頻度ですが、5000人にひとりの抗生物質に比べるとはるかに低い割合です。もちろん接種会場ではアナフィラキシーなどの副反応に備えていますので心配無用です。花粉症や食物アレルギーなどのアレルギーを持つ方も接種可能ですが、以前アナフィラキシーを起こしたことがある人は注意が必要です。
ワクチン接種は強制ではありませんが、厚生労働省や各市町のホームページ、かかりつけ医などから正しい情報を得て接種するかどうか判断してください。私自身は地域のかかりつけ医としてワクチン接種をお勧めします。
岡医院院長 岡 一雄